検索

シリーズ「留学記」 あなた、修行したの?

2013年、ベルリンでの話。 ベルンの大学院を出てから、ドイツの学校で勉強を続けオーケストラを受けようと思った僕は、受験準備としてベルリンに渡った。ところが、引っ越して2ヶ月ほどで酷いスランプにはまってしまった。 狭くて響く部屋で、隣近所に遠慮しながら練習していたら、どれくらいの音量で吹けばいいのかすらわからなくなってしまった。ホールで吹く機会も、ピアニストと合わせる機会も無かったので、このまま人生オシマイなのかもしれない・・・そんなことを毎日考えていた。 ベルリンにはドイツの学校に入る準備段階として、一時的に滞在する人が多い。 理由はこんなところだと思う。 ① ビザがおりやすい。 僕の場合は、語学学校の在籍証明(3ヶ月分)で2年のビザがおりた。 ②日本人留学生が多く、情報が集まりやすい。 ③良質なコンサートが、安価で聴ける。 ベルリンフィルも立ち見席なら、1000円強で聞ける。 壁崩壊後に物価が急上昇したとはいえ、まだまだ生活しやすく活気に溢れた都市、ベルリン。 住んでいた1Kの部屋も、狭くは無いけれど、練習のことを考えると決して満足な広さではなかったので、 前に教会で練習していたと言っていた人の話を思い出して、近所の教会にアポなしで訪ねてみることにした。 まず1件目。 入り口がわからないので却下。 2件目。 よく行くケバブ屋の向かいにある、大きな教会。 螺旋階段を登り、事務所のようなところにたどり着く。 ・・・人の気配がしない。 だんだん怖くなってきたので退散する。 「ヤクザケバブくれよ!」というと、いつも大盛りにしてくれる。ONE PIECEが好きらしい。2.8ユーロ。

シリーズ「留学記」 はじめてのオーディション2/2

朝9時にホールに着くと、すでに遠方からの受験者達が到着していた。 同じクラスからは自分を入れて4人。 草食系の中国人ヤン、天才肌のマルク、パエリア作りの達人ヴィセンテと一緒だ。 点呼の後、演奏順を決めるクジを引く。 ・・・3番。かなり前のほうだ。ついてない。 点呼の時に、「モーツァルト協奏曲の後に、このオケスタ(前号参照)を、この順番で演奏してください。」と発表されるので、演奏順が後のほうが落ち着けるし、最後の‘ひとさらい'ができるのだ。 控え室に入って5分も経たない間に 「ヌンマードライ、ビッテ(3番の人、どうぞ)」と声が掛かる。 舞台に上がると、そこにはポツンと笑顔の伴奏者(初対面)。幅のあるステージを覆い隠す長いカーテン。 物価の高いスイスではいくらするんだろうか。そんなことが一瞬頭をよぎる。 この先に、本当に審査員がいるのだろうか。 会場となったホール。二階のバルコニー席の両端をワイヤーで結び、カーテンをそこに通してあった。この写真はJ-J.カントロフ指揮シェーンベルクの室内交響曲のGPのもの。自分はEH。 指揮の身振りで、伴奏者に自分の演奏したいテンポを伝える。 「オーケー、任せて!」のウィンクとともに前奏が始まった。 (・・・・・あれ、遅い?) オーディションの雇われピアニストには、爆走タイプと爆遅タイプしかいないのか、などと勘ぐる。*そんな事はありません* 自分の演奏が始まり(始めるというより、ここまでくると勝手に体が動く)気付いたら終了を告げるベルが鳴っていた。 とりあえず一つのミスも無く吹けた。遅いよネーチャン。 ここのオーケストラは一次からオケスタがあった。

    • Facebook
    • Twitter
    • YouTube
    • Pinterest
    • Tumblr Social Icon
    • Instagram